2012年2月15日水曜日

【三階建て町家】 本日の物件
~大宮通七条下ル、ピンク色の壁~

自転車通勤はいろんなものを発見します。
ここ数年凝っているのが、三階建て町家の探索。

在るようで無い、無いようで在る。こんな発見の面白さを、三階建て町家に感じている次第です。物件を発見したときは、その日一日をハッピーな気持ちを送ることができてめっけものなのです。

そんなわけで、本日の三階建て町家です。所在地は京都市内の下京区大宮通七条下ル。交差点「大宮木津屋橋」のちかく。

■ 三階建て町家、大宮通七条下ル。
  1. 直方体のようなシルエット
  2. 各層の低い逓減率
  3. 一~二階の屋根は庇のようにちょこんと付く形
  4. 三階はアールのついたむくり屋根
すなわちこれは、本ブログの分類としては典型的な「層塔型」に含まれる物件です。これで雨樋が青銅製ならばさらに典型的なのですが、この物件はプラスチックの雨樋でした。あるいは、雨樋は後の補修により交換されたのでしょうか(希望的観測)。



■ 正面アップ、ピンク色の壁です。
この物件で特徴的なのは、ピンク色の壁。ベンガラ塗りの壁です。もしかしたら今のピンク色よりもずっと色の濃いベンガラ(酸化第二鉄)の鮮やかな赤色が、建てられた当初の色彩だったのかもしれません。一階建てや二階建てが並ぶ周囲から頭ひとつ抜けだして、壁が鮮やかに赤色に塗られた三階建て町家。往時の様子が偲ばれます。

■ 屋根軒下の骨太な垂木。
屋根軒下を支える垂木は、とても太い木材が使用されています。大変骨太な印象。しっかりした骨太な建材使用も、三階建て町家の特徴です。つまりそれだけ、お金をかけてつくられた建物ということなのでしょう。

三階建て町家を発見して回るうちに、固有の価値を認められるようになりました。つまり、「三階建て町家は全く平凡でない町家建築である」ということです。

  • 三階建て町家の多くが、地域のなかでランドマーク的な所在地(交差点や商店街出入り口)にあること。
  • 一般的な二階建てではなく、三階建てという形式であえて建てられた経緯自体が、特別な物語を有するモニュメント(記念碑)的な価値を備えていること。

三階建て町家は特別な建物であるようです。だから強く興味を惹かれるのです。

おそらくこの大宮通七条下ルの三階建て町家も、建てられた当初は地域のなかでランドマーク的でありモニュメント的な建物であったのでしょうか。店主にインタビューすれば、きっと特別な物語が出てきそうな気配。大いに気になりますね。

■ 今回の記事でご案内した三階建て町家をマップで。


より大きな地図で ALIEN京都マップ を表示

0 件のコメント:

コメントを投稿